マンションには様々な業者が関わっています。
マンションを買うときに話をした不動産会社の営業さん、設備の不具合があったときに呼んだ業者さん、マンションの廊下を清掃している管理員さん。
誰がどこの会社の人間で、どのような関係にあるのか皆さんはご存じですか?
この関係を把握してない居住者の方はとても多いです。
私もマンション管理会社に勤めてから初めて、この関係を知りました。
業者のことを知っていた方が 、「困ったこと」 が起きた場合に早く対処できますし、どの業者に責任があるのかを知ることは、適切な管理組合運営をする上で重要なことです。
マンション管理組合と関わる業者についてまとめました。

事業主(売主)
宅地の造成と販売の事業を計画し、実施する企業のことです。
デベロッパー、新築マンション分譲業者などと呼びます。
通常は事業主と売主は同一。
事業主が別業者に不動産を売却し、買い受けた業者が売主となって販売する場合もあります。
建物の欠陥をマンション管理会社のせいにする居住者の方は多いのですが、それは勘違いです。
管理会社が売主の系列企業であっても、建物に欠陥があった場合に責任を取る(瑕疵担保責任がある)のは売主です。




建築会社(ゼネコン)
土木・建築工事の一切を請け負う建設業者、施工会社。
大手の総合建築業者をゼネコン、その下請けをサブコンと呼びます。
事業主から受注してマンションを建築し、また建物に欠陥があった場合に、売主から指示を受けて修補します。
建物が破損した場合に管理組合が修繕を依頼する業者は、そのマンションを建てた建築会社である必要はありません。
管理会社から提案する業者に依頼しても、管理組合が探した業者に依頼して修繕しても構いません。
販売代理会社
売主に代わって、マンション販売の営業活動を行う会社。
マンション購入者が部屋の引き渡しまでやりとりするのが、この会社の営業マンです。
販売広告をまいて電話営業を行い、モデルルームに詰めて見学者の対応をします。
きっちり対応してくれる営業マンが担当してくれたとしても、マンション購入時は手続き書類や情報量が多いために、 購入者が話の内容を覚えていないということもあるので注意が必要です。
管理組合・区分所有者
マンション住戸(部屋)を所有している区分所有者(組合員)で構成された、マンションを共同管理する団体が管理組合です。
管理組合と区分所有者についてはこちらを参照ください。
仲介不動産業者
すでに引き渡されている住戸について、売買または賃貸を仲介する業者が仲介不動産業者です。元付業者と客付業者があります。
- 元付業者 部屋を売却する、または賃貸に出す際に所有者が依頼する業者
- 客付業者 お客さんをみつけてくる業者
ただし元付業者と客付業者が明確に分かれているとは限りません。
仲介手数料が元付と客付の双方に発生する(手数料無料の場合もありますが)ので、両方扱った方が業者としては利益になります。
新所有者
マンション住戸を中古購入した新所有者はその住戸の区分所有者となります
旧所有者が管理費等を滞納していた場合には、新所有者が支払義務を承継します。
所有者がいない空白期間は存在しません。
賃借人
賃貸契約によりマンション住戸に居住するのが賃借人です。
仲介不動産業者(賃貸管理会社)を通じて家賃を区分所有者(オーナー)に支払います。住戸の賃貸管理会社と、分譲マンション管理会社は違うので注意してください。
賃借人に総会議決権はありません。
しかし区分所有者と同様に、賃借人も管理規約や総会決議に基づく義務を負います。
マンション管理会社
管理組合との管理委託業務契約に基づき、マンション共用部分の管理を行います。
管理委託業務契約は、会計業務や各種点検等をまとめて行う「セット商品」です。
管理組合は管理会社と契約をする必要はなく、自主管理を行う選択もあります。
管理会社には大きく分けて、デベロッパー系と独立系があります。
- デベロッパー系 事業主の関連子会社であり、事業主が分譲するマンションを当初から管理する
- 独立系 他の管理会社が管理しているマンションの管理組合に営業をかけ、管理委託契約を自社に変更させることで管理物件を増やす
設備管理業者
エレベーター、機械式駐車場、給水設備等、マンション設備の点検等を行う業者。
清掃業務や設備管理業務が管理会社との管理委託契約内に含まれていても、管理会社が自社で当該業務を行えない場合は、設備管理業者(下請け業者)に再委託を行います。
管理組合が設備管理業者と直接契約することも可能です。