マンションに住み始めると、専有部分や共用部分に不具合が見つかることがありますよね。
不具合は売主に申し入れをすることで補修の対応をしてもらえますが、全ての不具合を無条件で補修してもらえるわけではありません。
この補修の対応には法律上の制限と、売主が決めた制限があることは知っていますか?
不具合の内容によって補修をしてもらえるものと、補修してもらえないものがあることを確認しておきましょう。
契約不適合責任(瑕疵担保責任)とは
瑕疵担保責任とは、売買された建物に隠れた瑕疵が見つかった場合に、売主はその補償をしなければならないという、法律で定められた責任です。
民法の規定では、発見してから1年以内が対象となります。
宅地建物取引業法では、引き渡しから2年以上とする特約が可能となっています。
「引き渡しから2年」という特約を結んだ場合には、不具合を発見してから1年経過していなくても、引き渡しから2年経過していれば対象外であるということです。
新築マンションでは多くの場合に、引き渡しから2年という契約になっていると思われます。
また品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)では、新築住宅の構造耐力上主要な部分および雨水の侵入を防止する部分について、引き渡してから10年間は責任を負うとされています。
軽微な壁の傷や、専有部分の設備の不具合は対象外ということです。
契約不適合責任とは、売買の目的物が「種類、品質または数量に関しての契約の内容に適合しないものであるとき」は、買主は保護されるというものです。
隠れた瑕疵(欠陥)の「隠れた」という概念も廃止されたことから、改正民法では隠れていようがいまいが、買主は売主に対して契約不適合責任を追及できるようになります。
契約内容に合致しているかどうか、が問われるということです。
契約不適合責任の時効期間は、種類または品質に関して買主が不適合を知ったときから1年、また買主が不適合を知らなくても引き渡しを受けた時から10年で時効消滅します。
アフターサービスとは
アフターサービスは、アフターサービス基準をもとにして売買契約上で売主が独自に定めた修理対応のサービスを指します。
アフターサービス基準は、品確法に合わせて一般社団法人不動産協会が定めているものです。
このアフターサービスは通常、マンション引き渡しから3か月・1年・2年経過の時期に一斉定期点検として実施されます。
専有部分のアフターサービス
アフターサービス実施の時期になると、施工会社または窓口となる管理会社から、専有部分で不具合があるかどうかのアンケートが配付されます。
専有部分の不具合についてのサービス期間は、多くの場合に1年または2年となっています。
補修対象になるかわからなくても、生活していて気になることは遠慮せずにアンケートに全て書きましょう。対象外であればやらないだけです。
また専有部分の設備の不具合は、メーカーの保証基準によります。
アフターサービス対象外であって自分で修繕(リフォーム)したい、という場合には管理組合に申請をして修繕をしましょう。
共用部分のアフターサービス
共用部分の不具合についてのアフターサービスは、管理組合が申し入れなければなりません。
アフターサービスのサポート業務を管理会社がどの程度行うのかは管理委託契約によりますが、理事会が主導で共用部分の不具合箇所を指摘することとなります。
サービス対象の不具合を見落とすことは、大規模修繕費用の増大にもつながります。
2年のアフターサービスの際は、特に慎重に建物を見回ることが大切ですね。
指摘した不具合箇所が補修されているのか、きっちりと完了確認を行う必要があります。
例えば不具合の一つとして、壁のひび割れ(クラック)があります。
専有部分であれば、壁紙を通してひび割れが浮き出て見えることもあります。
コンクリートの乾燥収縮によるひび割れは、建築後の数年間は発生するので事象としてはそう珍しいものではありません。
実際にアフターサービスの範囲内で補修できるものです。
しかし、ワンフロア内の複数の専有部分で同様のひび割れが発生した場合には、構造上の問題の可能性があります。
建物の躯体は共用部分ですから、管理組合として不具合の状況を可能な限り把握し、アフターサービスの期間を過ぎていても申し入れはすべきです。
アフターサービスがなかなか完了しない
売主と施工会社にとって、アフターサービスはやりたい仕事ではありません。
補修する部材の納期の関係や、居住者が在宅する都合と合わせる必要があることなども、アフターサービスがなかなか完了しない要因ではあるのでしょう。
しかし仕方のない都合を考慮してもなお、アフターサービスが完了するまでに非常に長い期間がかかるマンションは結構多いです。
契約上はアフターサービスの履行の責任が売主にありますが、売主がマンション施工会社に実作業をやらせるという構図です。
アフターサービス基準を満たしているのに補修が完了しないことの多くは、施工会社の動きが鈍いことが原因でしょう。
施工会社の現場監督は複数の建築現場を掛け持ちしているため、アフターサービスの対応は後回しになるのが現状のようです。言い訳にならないのでしょうけれども。
アフターサービスの進捗状況が悪い場合には、管理会社の協力を得て売主に申し入れましょう。