分譲マンションを購入すると、専有部分(各住戸)の鍵を何本か渡されます。
各自が持つ鍵で開けることができる扉と、開けることができない扉がマンション内にはあります。
管理組合では、マンション内各所の鍵を交換する場面があるはずです。
分譲マンションでは各所の鍵がどのように扱われるのか、注意点とあわせて説明していきます。
鍵は誰のもの?
アパートや賃貸マンションの鍵は借り物ですが、分譲マンションにおいて専有部分の鍵は区分所有者の所有物です。
区分所有者しか持っていません。
標準管理規約では玄関扉は共用部分、玄関扉に付いている錠は専有部分となっています。
ただし、管理規約で錠を共用部分としている管理組合もあるかもしれませんので注意してください。
「鍵」と「錠」、見分けにくいですね。ここでは「鍵」と「シリンダー」、と区別しておきます。
エントランスの集合玄関機や通用扉、各自が開けることができない扉はシリンダーも含めて共用部分であり、管理組合の所有物です。
専有部分の鍵の予備を管理会社が持っているもの、と誤解している方は結構います。
賃貸マンションやアパートなら大家や管理会社が鍵を持っていますが、分譲マンションでは違います。
鍵を失くしたと言っても、管理会社は予備の鍵を預かっていませんので、各自が注意して管理する必要があります。
例外として、特別な契約により管理会社が預かる場合もあります。
どの扉も開けられる鍵(マスターキー)のシステムをマスターキーシステムと呼びます。共用部分の扉のみについては採用可能ですが、分譲マンションの専有部分の扉については採用されません。
専有部分の鍵を交換する場合
専有部分の鍵を買い足す、またはシリンダーごと交換する場合は各自の費用負担となります。
玄関のシリンダーは自分の好みで選んで交換すればよいというものではありません。
注意しないと、玄関の鍵と集合玄関機の鍵、合わせて2本を持ち歩くことになってしまうのです。
専有部分の鍵は他の住戸の玄関扉を開けることはできませんが、集合玄関機(と通用扉など)を開けることができます。
これを逆マスターキーシステムといいます。
玄関扉のシリンダーを交換する際に、集合玄関機と連動させる必要があるということです。
鍵を交換する場合には、ひとまず管理会社に連絡をするとよいでしょう。
管理会社から鍵屋を紹介される場合もあります。
自身で鍵屋を探した方が費用は安いかもしれませんが、紹介された方が楽ともいえますね。
集合玄関機をシステムごと入れ替える場合などに、各住戸の鍵を管理組合主導で交換することはあります。
鍵のトラブルと鍵屋について
街中にある鍵屋では、鍵の複製や解錠などの鍵に関するさまざまな作業を行うことができます。
鍵屋を自分で探す場合には、鍵メーカーの正規代理店(サービス代行店)を選択しましょう。
鍵メーカーのホームページから代理店を検索することができるので、住まいの地域から代理店となっている鍵屋を選ぶとよいです。
鍵にはメーカー名と鍵固有の番号(アルファベットと数字など)が刻印されています。
鍵に刻印された番号で管理されているので、マンションの集合玄関機と連動した鍵と錠を作って欲しいと鍵屋さんに伝えれば、鍵屋さんもわかるはずです。
鍵が開かない、鍵を失くした場合などの緊急的な解錠作業であれば、正規代理店にこだわる必要はありません。




以下は分譲マンションの住戸用に採用される主な鍵メーカーです。
シリンダーのメンテナンス
鍵が回らない場合は潤滑剤を吹き付けてみればよい、と思いますよね。
でも潤滑剤なら何でもよいわけではありません。
多用途の潤滑剤(シリコンスプレー)を使うと、ひとまず鍵は回るようになります。
しかし潤滑剤の油分はホコリがくっつきやすいので、すぐ回らなくなります。
鍵穴用、パウダー入りなどと書かれた、鍵専用の潤滑剤を使いましょう。
美和ロック 鍵穴専用潤滑剤 スプレー3069 がおススメです。
鍵用潤滑剤を使用する前に試していただきたいのが、大容量でも安価なパーツクリーナーです。
鍵穴に吹き付けて鍵を抜き差しすると、鍵に汚れがつくので拭き取ってください。
何度か回しながら抜き差しすれば、それだけでも回りが良くなります。
パーツクリーナーで鍵穴をキレイにしてから鍵用潤滑剤を吹くとよいでしょう。
AZ(エーゼット) パーツクリーナー ブルー 840ml Y004(大容量で安価です)
パーツクリーナーと鍵専用潤滑剤を管理組合備品として備えておけば、鍵が回りにくくなった場合に共用扉でも各住戸の玄関扉でも対応できますよ。
共用部分の鍵について
シリンダーは消耗品です。
マンションの規模にもよりますが、使用頻度が高い集合玄関機や通用扉のシリンダーは、メンテナンスをしていても早くて5年経たずに交換する場合があります。
シリンダーは受注生産であり、鍵が回らなくなってから発注しても納期に時間がかかるため、予備シリンダーを購入しておくとよいでしょう。
鍵をリーダーにかざすか、近づくだけで解錠できる「非接触(ノンタッチ)キー」を採用しているマンションも近年は増加しています。
鍵の紛失や破損した場合に費用がよりかかる点や、電池が消耗した際にはキーヘッドの電池を個人で交換する必要がある点などの注意点はあります。
それでも非接触キーは便利だとの声は多いので、管理組合で導入を検討してはいかがでしょうか。