マンション管理会社が管理委託契約において行う業務は共用部分の管理ですが、近年ではさまざまな生活上のトラブルに対応する居住者向けのサポートサービスとして「専有部サービス」を提供しています。
競合他社との差別化の一環として、2010年頃から大手管理会社がこの専有部サービスを活発に提供しはじめて以降、中小他社も追随し現在では標準的なサービスとなっています。
管理委託契約内に盛り込まれるか別途の契約締結を経るかは事業主や管理会社の方針によりますが、専有部サービスの契約がマンション購入時の前提となっている場合もあります。
専有部サービスを導入している管理組合も増加してはいるのですが、管理会社からのサービス提案時や導入後数年してから、本当に必要なサービスであるのか疑問視されることがあります。
居住者の需要にあわせて、上手に活用したいですね。
専有部サービスの内容
費用は戸あたり月額300円程度から設定しているのではないでしょうか。
戸別の契約も可能としている場合もありますが、全戸が加入して管理組合から全戸分の費用を支払うとする契約が主流でしょう。
利用時にはコールセンターやインターネットによる受付を行います。
いずれのサービスも提携する運営業者と協力して運営しています。
委託先の管理会社がどのような条件でサービス展開をしているか確認してみてください。
管理会社各社が提供する専有部サービスは主に以下の内容となっています。
駆けつけサービス
- 鍵の不具合、水回り・電気のトラブルの際に専門員が訪問して対応
- 一定時間内の応急作業無料
- 必要に応じて見積提示や業者の紹介
ホームセキュリティ
- 警備会社への緊急通報
ライフサポート
- 照明器具の交換、家具の移動など一定時間内の作業
- 旅行・レジャー施設・グルメなどの優待割引
- リフォーム・売買賃貸などの不動産相談
必要なサービスか
管理会社が専有部サービスの導入について管理組合に提案すると、否定的な反応も結構あります。
若い世帯にはあまり必要性を感じないのでしょう。
困りごとがあっても自分で手配できる人には、不要なサービスなのですから。
高齢者向けのサービスであることは確かです。
世帯年齢の若い住戸が多く、室内の設備に不具合が起こる割合も低い築浅のころは専有部サービスも必要ないだろうとする意見が占めて、サービス導入を見送る管理組合も多いです。
優待サービスがある場合には若い世帯のほうが積極的に利用できるのではないでしょうか。
不具合が起きた場合の保険的な備えという意味もありますが、費用の元を取る使い方ですね。
使いたい住戸だけ契約すればいい、という考え方は多くなりますが、戸別契約を提供しているのかは、管理会社によります。
まとまった数の契約があるから安い価格で提供できるわけであって、戸別の契約には大手管理会社でなければ対応できないかもしれません。
管理組合で一括契約の場合には一般会計からの支出となります。
管理費を別途増額してまで導入しようという管理組合もそうないでしょう。
一般会計を圧迫しないかという点に注意して、必要なければ契約を見送る、あるいは導入してみて必要なくなれば解約すればよいのです。
専有部サービス契約締結の問題点
専有部分に関するサービスについて、管理組合が契約をしてもよいのかという問題があります。
管理組合は共用部分の管理を行う団体であるのに、管理組合が専有部向けの契約を締結し、共有財産から費用を支払うことに問題はないのか、ということです。
今のところは判例もないはずなので、何とも言えないというところではあります。
既に各社が提供して普及していることであり、業界団体も禁止していません。
専有部サービスは営利という管理会社の都合でもあるので、さまざまなサービスを今後も展開していくでしょう。
問題があるということになれば、戸別契約のみで提供するという方向性も将来的にはあるのかもしれません。
コメント