日本は災害大国です。
大地震や台風の被害状況を知っているのにもかかわらず、防災への意識が低いまま過ごしてはいませんか?
国土交通省の統計では以下のデータがあります。
災害時の対応マニュアルを作成している 16.7 %
国土交通省 平成30年度マンション総合調査
組合員名簿及び居住者名簿がある 78.8 %
定期的に防災訓練を実施している 31.7 %
防災用品を準備している 22.1 %
個人と管理組合で準備ができる防災対策の範囲を確認し、防災グッズや防災マニュアルなどを用意して防災対策に取り組みましょう。
家庭でできる防災対策については別記事をどうぞ
防災マニュアルの作成
防火管理者がいれば、理事会と協力して防災マニュアルを作成し配付をするとよいです。
災害時の対応ルールや防災備品の保管状況を把握し、理事会役員の交代の際にも引き継げるようにしましょう。
自治体で発行しているパンフレットが参考になります。
- 防災マニュアル
- 避難拠点や医療救護所を記した防災地図
- 災害の被害予測図を記したハザードマップ
防火管理者については別記事をどうぞ
居住者名簿・緊急連絡先
管理会社には、マンション入居時に提出する入居届の情報が備えられているはずであり、管理組合としても緊急連絡先を含む居住者の名簿を備えることが必要です。
名簿を備えている管理組合が多数のようですが、提出したきり更新されないままとなってはいないでしょうか。
住戸を所有しているがマンション外部に居住している、賃借人が居住していると思われるが入退去時に届け出ていないことなども、情報に抜けがでる原因となります。
災害時に安否確認を希望するかを含めた、災害用の連絡名簿を作成するとよいでしょう。
また入居者に変更があった場合には、速やかに届け出るよう定期的に注意を促すことも大切です。
飲料と食料を管理組合で備蓄するか
飲料と食料など、非常食の備蓄は3日から7日分が必要だと言われています。
通常は3日もすればライフラインは回復するが、大震災の場合には1週間はかかることが想定されるからです。
管理組合で非常食を備える必要はあるでしょうか。
1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた新耐震基準のマンションは大地震でも建物が崩壊する可能性は低いとされています。
住戸の出入りができるのであれば、非常食は各戸で備蓄すればよいのではないかと考える管理組合は多いです。
非常食の購入費用と防災倉庫のスペースを考慮して検討することになるはずです。
結果として役立てずに済んだ非常食は、賞味期限前に各戸に配ってもよいでしょう。
防災備品の購入
管理組合で備えると便利なものをリストにしました。
各家庭で備えるべきとするかどうかは、居住者の年齢層やマンションの規模なども考慮して選択しましょう。
- 工具セット
- 救急セット
- 担架
- ヘルメット
- メガホン
- LED懐中電灯
- 発電機
- バッテリー
- コードリール
- 手回し発電ラジオ
- 手回し携帯電話充電器
- 標識ロープ
- 軍手
- 布ガムテープ
- ビニールシート
- 簡易トイレ
管理組合でどんな備品を用意したのか、居住者にしっかりアナウンスする必要があります。
その上で、必要に応じて個人でも防災グッズを買いそろえておくべきでしょう。
防災グッズが一式そろった防災バッグもあるので、参考にしてはいかがでしょうか。



災害支援型の自動販売機設置
災害などの緊急時に、飲料を無料で取り出すことができる自動販売機の設置を検討してはいかがでしょうか。
メーカーの設置基準を満たせば、マンションの敷地内に自動販売機を設置することができます。
管理用の鍵が無ければ、停電時に取り出すことができない仕様のものもあるので、管理と操作方法なども確認しておく必要があります。
機械式駐車場の車両退避
機械式駐車場の地下部分には排水ポンプが設置されており、雨水が流入しても排出される仕組みとなっています。
しかし、大雨により流入量が排水能力を超える場合には車両が水没する恐れがあることから、車両を退避させる必要があります。
上下の昇降式駐車場の場合、通常は隣接するパレットを同時に操作することはできませんが、インターロック解除キーによって操作が可能となります。
インターロック解除キーは、他の共用部分の鍵と合わせて管理室で保管されている場合が多いでしょう。
鍵の所在確認、駐車場利用者への連絡手段、車両退避手順についての取り決めをしておくべきです。
まとめ
災害の際には、管理会社や設備業者も被災しています。被災地周辺ではその社員自身も被災者となっています。
エレベーターが動かない、水が出なくなることもあるでしょう。
管理会社や設備業者、警備会社に連絡してもつながらない、つながっても対応しきれないことは十分に考えられます。
業者が出動しても交通網は麻痺して現地になかなかたどり着けません。
災害の状況が把握でき、復旧できるまでには時間がかかります。
家族と連絡を取ることも困難となるかもしれません。
余談ですが、東日本大震災の際にはSNSが安否確認に役立ったそうです。
このような状況で助けになるのが管理組合であり、居住者同士の繋がりです。
居住者間のコミュニケーションを図ることで、災害への備えの一つとしたいですね。
コメント